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化学成分と特性

  規格 化学成分(%)
JIS C Si Mn P S Ni Cr Mo その他
オーステナイト系ステンレス鋼 SUS 304 0.08
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
8.00~
11.00
18.00~
20.00
SUS 304L 0.030
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.45
以下
0.30
以下
9.00~
13.00
18.0~
20.00
SUS 310S 0.08
以下
1.50
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
19.00~
22.00
24.00~
26.00
SUS 316 0.08
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
10.00~
14.00
16.00~
18.00
2.00~
3.00
SUS 316L 0.030
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
12.00~
16.00
16.00~
18.00
2.00~
3.00
SUS 317L 0.030
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
11.00~
15.00
18.00~
20.00
3.00~
4.00
SUS 321 0.08
以下
1.00
以下
2.00
以下
0.045
以下
0.030
以下
9.00~
13.00
17.00~
19.00
Ti/5×C%以上
二相系 SUS 329J4L 0.030
以下
1.00
以下
1.50
以下
0.040
以下
0.030
以下
5.50~
7.50
24.00~
26.00
2.50~
3.50
N/0.08~0.30
マルテンサイト系ステンレス鋼 SUS 403 0.15
以下
0.50
以下
1.00
以下
0.040
以下
0.030
以下
(1) 11.50~
13.00
SUS 410 0.15
以下
1.00
以下
1.00
以下
0.040
以下
0.030
以下
(1) 11.50~
13.00
SUS 420J2 0.26~
0.40
1.00
以下
1.00
以下
0.040
以下
0.030
以下
(1) 12.00~
14.00
SUS 440C 0.95~
1.20
1.00
以下
1.00
以下
0.040
以下
0.030
以下
(1) 16.00~
18.00
(2)
フェライト系ステンレス鋼 SUS 405 0.08
以下
1.00
以下
1.00
以下
0.040
以下
0.030
以下
11.50~
14.50
Al/0.10~0.30
SUS 430 0.12
以下
0.75
以下
1.00
以下
0.040
以下
0.030
以下
16.00~
18.00

注(1) Nlは、0.60%以下を分有してもよい。
注(2) Moは、0.75以下を添加することができる。

ステンレスの分類

オーステナイト系ステンレス鋼
18%Cr-8% Ni 鋼を基本型としたオーステナイト系ステンレス鋼は酸・アルカリその他の塩類等の腐食性溶液に対して非常に優れた耐食性を有している。
また、高温における耐酸化性、耐高温ガス腐食性および高温強度が優れている一方、低温においても優れた強靭性・耐食性を有している。
その他に加工性・溶接性が良好であるなど、多くの優れた特性を有し、広範な用途に使用されている。
二相ステンレス鋼
二相ステンレス鋼は海水など高濃度のClイオンの存在する環境において18Cr-8Ni系ステンレス鋼よりもすぐれた耐孔食性・耐隙間腐食性
あるいは耐応力腐食割れ性を有する。
329J4Lは高温海水における耐孔食・耐隙間腐食性に優れており、また高温塩化物溶液における耐応力腐食割れ性に優れている。
溶接部においても母材と同等の優れた耐食性を有している。
マルテンサイト系ステンレス鋼
マルテンサイト系ステンレス鋼は他系統のステンレス鋼に比べて耐食性は劣るが、硬さと強度に優れており、かつ耐摩耗性も有している。
マルテンサイト組織は適当な焼き戻しを行うことによって、優れた機械的性質が得られるので高強度や高硬度の要求されているもの、
あるいは高温度で使用されるものに用いられる。
フェライト系ステンレス鋼
オーステナイト系ステンレス鋼に比べて耐食性、高温強度、溶接性および加工性は全般的に劣るが
耐酸化性あるいは耐高温ガス腐食性には優れた特性を有している。
オーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価であり、腐食性のあまり過酷でない環境では比較的使用圧力の低い加熱炉あるいは空気予熱管等に適している。

各種元素の特長や効果

炭素(C=Carbon)
ステンレス鋼の全てに対し強烈な影響力を保有する。炭素量が少量である程、耐食性が向上する。
珪素(Si=Silicon)
ステンレス鋼には約1%分有しており、耐酸化性を向上させるが硬化させることにもなるので
トータル的には加工性を考慮に入れて多少少なめが良いとされる。
マンガン(Mn=Manganese)
オーステナイトを安定させる。耐摩耗性に優れているが耐食性は皆無である。
燐(P=Phosphorus)
いかなる鉄鋼製品にとっても有害である。内部傷を発生させたり、脆性を増加させたりする。0.03%程度なら影響はない。
硫黄(S=Sulfur)
少ない程耐食性が向上する。硫黄はマンガンと化合し易く、非鉄金属介在物となって耐食性を低下させる。
被削性を向上させる為に硫黄の量を上げることがある。
クローム(Cr=Chromium)
18%前後が耐食性向上に最も良い量である。16%を割ると劣化が始まり10%を割ると急速に劣化する。
表面保護被膜を作って耐酸化性、耐食性を向上させる。
ニッケル(Ni=Nickel)
ステンレス鋼最大の立役者であり、クロームと併存した場合に耐食性は更に向上する。
ニッケル量が増加するほど、オーステナイトが安定するといわれる。
モリブデン(Mo=Molybdenum)
通常の不働態が破壊されるような雰囲気においても耐食性を保ち得る。2%以上含有するSUS316は効果も高いが、価格も高い。
チタン(Ti=Titanium)
クロームと比べ炭素との親和性が高く、耐粒界腐食性を向上させる。代表鋼種としてSUS321がある。